特別受益という言葉が問題になるのは、「相続前に財産をもらっていた場合」なのです。
ですので、特別受益の言葉の説明とあわせて
生前贈与はどのような扱いになるのか?
を説明したいと思います。
相続財産は、相続開始時点での財産だけに限られず、相続前の財産も対象になることがあります。
相続人が複数人いて、その中の一部の人は生前に財産をもらっていたという場合。
この場合には、生前に財産をもらっているにもかかわらず、相続のときは平等に分けるということをすると、結果的に生前にもらっている分だけ不公平になります。
そこで、
前もって財産をもらっている人というのは、「特別受益者」として相続分からその利益相当分を控除することになるのです。
もちろん、遺産は自由に分割できるのですから、「前もってもらっている分は考えないで分けようよ」と決めることもできます。
ちなみに
特別受益は金銭だけに限らず、株券や車などの動産も含みます。
そしてこれらの価値を計算するときには、これら動産は既に滅失あるいは価格の変動があったとしてもその贈与当時のままであるとして計算することになります。
参考までに、特別受益に当たるものと当たらないものの具体例を挙げておきます。
ようは、「前もってもらっているんだから、相続のときはその分あげないよ」とする制度なのです。
<特別受益にあたるもの>
生命保険金の受取人である
相続人名義の車を買ってもらった
兄弟のうち一人だけ大学に行かせてもらった
結婚に際し、持参金・支度金をもらった
独立開業資金の援助を受けた
住宅の購入資金の援助を受けた
<特別受益にあたらないもの>
結婚に際し、結納金・挙式費用を出してもらった
一人だけ私学の高校に行かせてもらった など